メディア社会学科ゼミトーク
アンジェロ ゼミ:思い込みを超える言葉で 真のグローバル化を伝えたい

身近に外国人が増えて 多様性に目覚める
学生 アンジェロゼミ3年次恒例の雑誌制作で、今年は日本のさまざまなスポーツで活躍する外国人帰化選手を取り上げました。
アンジェロ ラグビーのワールドカップでは、日本代表チームが十人十色の多様性に富んだ「ワンチーム」でした。外国人への注目度は高くなっています。
学生 ここ数年、身近な地域でも外国人をよく見るようになりました。ただ、日本人のなかには拒否反応を示す人もいます。実際に取材したなかで、ガーナ出身のバスケットボール選手が、「日本人は考えすぎなんじゃないの」とおっしゃっていたのが印象に残っています。
アンジェロ 外国人の数が急激に増えて、多くの日本人がようやく多様性に目覚めたといえます。真のグローバル化というのは身近な多様性を受け入れるということ。そこに戸惑っている人がいるということでしょう。
学生 ほとんどの外国人選手が自分は自分なんだから、国は関係ないとおっしゃいます。その言葉を聞いたおかげで、私も国籍という枠を外して、その人個人と接することができるようになりました。

現場で聞いた想定外の答えに 視野を広げられる
アンジェロ このゼミは、取材、原稿執筆から編集まで分担して行い、1冊の雑誌に仕上げることで、多様性という「素材」をどう伝えるかという技術を習得します。あなたは取材を担当して、どんな発見がありましたか。
学生 皆さん日本語では苦労しているだろうと思っていました。ところがラグビーのトゥポウ選手など「日本語は自分で勉強しているし、英語でも補足できるから大丈夫」と、予想外に平気そうなのです。また、ある日本人の監督からお聞きした、外国人選手がチームの足りない部分を補っているように、街で働いている外国人も日本人にはできないことを補っている、というご指摘は、私にはなかったものでした。ほかにも自分の思い込みや先入観が覆されることが何度もありました。
アンジェロ 年代や国籍、考え方の違う方々と対話することで聞く力がつき、視野が広がりましたね。現在は取材を終えて、ページ構成やタイトルを検討しているところですが、あなたはどんな雑誌にしたいですか。
学生 外国人選手の実状をなるべくそのまま伝える雑誌にしたいと考えています。思い込みを持っている人も多いと思いますので、たくさんの人に読んでいただいて、私のように驚いたり発見したりしてほしいですね。
About Seminar
国際社会や移民問題について取り上げ、それを伝える雑誌の制作を行います。学外に出て現場を取材し、原稿を書くことを重視。ジャーナリスト的な幅広い視野と、豊かな表現力を養います。
メディア社会学科
アンジェロ ・ イシ 教授
※掲載されている内容は、取材時(2019年度)の内容です。