2020.07.21

活動ブログ名:武蔵One Point自然観察

苔の道ー長引く梅雨ー(Now 武蔵の自然 No-20)

今年2020年、各地で水害が多発しています。東京も長雨が続き、もう7月21日になるのに、梅雨明けはいつになるのだろう?どんよりとした日が続き、雨が少しも降らない日はほとんどありません。写真のように苔がタイルの隙間を埋めています。皆さんが登校していれば、踏み消されているのかもしれません。さきほど、ほんの短時間セミが鳴いていました。


傘をさした隣の生徒たちが、パラパラと帰宅していました。手前の光が良く当たるあたりが、緑っぽく見えます。撮影日時: 2020:07:06 15:04:48


タイルの間には、丁寧に草が抜かれていますが、苔はタイルの上まで広がっていました。撮影日時: 2020:07:15 12:37:13


3号館中庭の大ケヤキの広場も苔の広場へと様変わりしています。撮影日時: 2020:07:19 09:07:53

 

この回は、8号館と3号館の間のメイン通路の見どころ紹介です。一つはクチナシの植え込みです。春先、香の花としてセンダンを紹介しましたが、梅雨時の香の花、第一等はクチナシの甘い香りです。共感覚という言葉がありますが、この強い香りを嗅ぐと本当に甘く感じます。花は知らなくても食べている花です。食べるといっても、果実を粉にして天然着色料として使います。平安時代には十二単の染色に用いられました。無害な黄色着色料として、お正月の栗きんとんや沢庵、和菓子にも多用されていますから、必ず食べています。音は「口無し」ですから、碁盤の足にもデザインとして取り込まれています。「打ち手は無言、第三者は勝負に口出し無用」


クチナシの花は、濃い白色で、おしべには多量の花粉があるのですが、昆虫が訪れるのを見かけません。撮影日時: 2020:06:16 07:20:41


碁盤の足の装飾はクチナシの実の形。撮影日時: 2020:07:04 18:10:21

 

変わった花としては二株だけですが、アカンサスが植えこまれています。地中海原産のキツネノマゴ科の植物で、ハアザミとも言うそうです。花が咲くと高さ1メートルを超える高さに、沢山の花が次々と咲きます。花の形があまり見かけない特異ですから、咲いたときには覗いてみてください。花にかぶさるようにちょっと赤味がかった萼(がく)があり、花びらを押し包むように、下には大きなとげを持った苞に挟まれています。コリント式の柱の上部の反り返った装飾のモチーフとなった植物です。ヨーロッパでは、時代を超えて長く美術様式や装飾品に多用されている意匠ですから、私たちもきっとどこかで目にしています。ぜひ、じっくりと見つめてください。触ると棘が痛いですよ。


かがんでのぞき込むんでこの不思議な形の花を観察してみてください。撮影日時: 2020:05:30 09:09:19


ヨーロッパの歴史に刻まれた植物です。撮影日時: 2020:05:30 09:09:50

この花は、ギリシャの国花です。名前は神話に由来しているそうです。美しい娘アカンサスを太陽神アポロンが見初め、彼女に求婚しましたが、拒否されました。でも、さらに接近するアポロンを彼女は爪で引っかき、ひっかき傷を受けたアポロンは怒って、とげのあるアカンサスに変身させてしまったというのです。今なら、ネット炎上して大問題となるに違いありません。

 

もう一つ見どころを紹介します。武蔵大学の海抜標高を知っていますか?どれくらいだと思いますか?スマホの位置情報で、写真の標識と比べてみてください。1930年ですから昭和5年になりますが、陸軍の測量部が厳密に測量したものです。このベニヤ板を手で持ち上げると花崗岩のおへそがついた測量石を確認することができます。武蔵が建設されたこの台地面を通って千川上水が板橋方面へと通水されていました。通学路の途中に説明看板が立っていますから、ぜひ一読してみてください。


自転車の前のベンチ前にあるベニヤ板が目印です。自転車の後ろにアカンサスがあります。撮影日時: 2020:07:15 12:32:56


今のGPS測地系と違う時代の測地系測量です。ぜひ皆さんのGPS衛星によるスマホデータとの違いを確かめてください。撮影日時: 2020:07:15 12:33:33

 

今年は観測史上、累積雨量が平年7月の倍を超える場所も珍しくないとのことです。気象庁は「線状降水帯にそって次々と大雨をもたらす雲が流れ込んできた。東シナ海の海水温が高くて水蒸気量が多いのも原因の一つ」と解説していました。「バックウオーター現象、大雨で本流が水嵩を増し支流からの流入が留められ、堤防から溢ふれてしまう現象」が起きたとも報道されていました。ほとんど聞き慣れない「跳水、用水路の傾斜が急に変化するところで、水が溢れる現象が起きた」という専門用語も聞きました。河川工学や気象の知識、あるいは、地震の知識など身の回りの危険を予知し対応するためには、科学的知見をもっと我がこととして、身近なものにしていかなくてなならないと思います。多様な情報を含むデジタル地図を重ね合わせて「なるほど」この辺りはこんなことが問題となっているのか!と会得し、備えを想定しておく時代なのでしょう。つまり、行政が蓄積してきた情報を見やすく統合された情報公開が求められています。

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