2020.01.21

活動ブログ名:国東農業研修

研修後レポート【佐伯麻弥】(2019年実習-22)

私にとってこの五日間の研修は農業、農村のさまざまな側面を知る機会となった。人々に話を聞く中で自身の知らなかったことに沢山触れたのだが、中でも印象的だったのは生産物が店頭に並ぶまでにいかに処理されているか、ということである。

 

二日目に横山さんのもとで小ねぎの調整作業をやらせてもらった。この工程では店頭に並んだ時の見栄えを考慮し、先にしなびるねぎの一番古い葉を捨て、新しい葉を2本だけ残すのだ。一つの株の中で一番古い葉が一番大きく立派である。その時点では食べられるものを捨てており、もったいないなと取り除いた葉をコンテナに放り込むたびに思っていた。同時にねぎに限らずあらゆる農産物に規格は存在し、出荷までに選別や調整を受けるのだと気が付かされた。消費者のために捨てられていく野菜を目の当たりにした。

 

また、お話を聞いて、想像はしていたものの、農家として生計を立てるのは容易いことではないと改めて痛感した。作物を育てるとなると生活のサイクルをそちらに合わせなければならず、早朝や夜遅くまで働くことも多々ある。そしてただでさえハードなスケジュールというのに、天候の変化や台風の到来にも対処せねばならない。ビニールハウスの場合、ハウス自体が壊れると修繕に100万単位でお金がかかるという。ビニールを剥げば風に煽られにくくなるものの、中の作物が無事ではない。台風を前にして苦渋の決断に迫られるのだ。

 

そんな苦労をして、手間をかけて育てた作物も市場でその価値に見合った適正価格を付けられるかというとそうとも限らない。店頭に並ぶ農産物の価格を決めるのは小売業者であり、農家の価格の決定権は弱い。他店との競争に勝ち、より顧客を確保するために安く仕入れ、安く売ろうとする。安ければ安いほうが良いと考えて日々買い物を行っていた自身を顧みた。消費者が喜ぶ財布にやさしい価格の裏で生産者が犠牲になっているのだと、少し考えればわかるのに今まで意識したことがなかった。消費者は作物を作る大変さ、そしてその努力が適正に評価されているかどうかを考えながら日々の買い物を行わねばならないはずだと感じる。そして買った食材は作り手の手間の結晶だと忘れずに新鮮なうちに美味しくいただくことを心掛けたい。

 

研修を通じてたくさんの人から人生のアドバイスをいただいた。知識の多さは様々な考え方を生み出す。だからある物事に取り組むには自身の知識の多様性や異なる専門の人と協働するのが大切なんだと研修中に教わった。世間一般でいう「役立つ知識」以外もたくさんの知識を取り込んでおくようにと。

 

きっと豊かな知識は人間関係を広げる。知識が種となり、世間話を通じていろんな人と関わり、人生は磨きがかかって味わい深いものになるになるんだろうな、と出会った方々を思い返しながら考える。私も自分の学科に関する事柄や、就職に役立ちそうな知識だけではなく、もっと興味関心に忠実に、あちこちに足をのばして勉強に取り組んでいきたい。目指すのはお会いした人生の先輩方のように世間話の上手い人だ。

 

研修前に先方へ送った事前レポートを読み、掲げていた目標はおおよそ達成できたと振り返る。野菜を栽培しているハウスを見学したり、どういった作業をしているか、またその中で大変なことなど、生産者の方から直接聞くことができた。日々の食事はこのような農家の方のおかげで成り立っているのだと、頭が上がらない思いになった。加えて移住してきた方、国東に住んで長い方との話を通じて地方での生活の魅力と課題、二つの側面を知った。全国的に高齢者の割合が増し、人口が減りゆく中で地域の活性化の策はあちこちで講じられている。この研修は具体的にどういった活動が行われているのかを知る貴重な機会であった。これも知識の一つとしてしっかり心に留めておき、然るべき時に活用したい。

 

最後に国東で賢く、強く暮らす人々に出会い、その生活を知ることができ、この研修に参加して正解だったなと思っている。また事前学習や研修本番、その後の集まりを通じて一緒に行ったメンバーと仲を深めることができたのも大きな収穫だ。今回だからこそ得ることができた人とのつながりを今後も大切にしていきたい。

 


松原さんの工房にて。お土産の工芸品とお饅頭をいただいた。撮影日時: 2019:09:02 15:06:06

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