2017.10.18

Category:経済学科

経済学科 准教授 田中健太

データ分析にも必要な柔軟な思考力

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現在、ビックデータやAIなど、現実のデータを統計学などの計量分析を活用した取り組みがしきりに騒がれています。とくに経済学の実証分野においては計量分析を用いて、限られたデータのなかで様々な経済活動の流れや関係性を理解する努力が長年続けられています。田中専門ゼミナールではその入門的なテクニックを応用して、社会で起きている様々な問題をいかに解決すべきか考えるゼミを行っています。内容は少子化や過剰労働の問題などの深刻な社会問題だけでなく、オリンピックのメダル数の要因分析など、幅広い研究テーマに取り組んでいます。ただ前述の通り、我々がアクセスできるデータには限りがあり、あるデータはちょこちょこない期間があったり、アンケ―トの答えで一部回答してくれていなかったり、記載ミスがあるなど、様々です。そのなかでも計量分析を用いることで様々な関係性が見えてきます。

 

例えば、現在のゼミではあるグループがオリンピックのメダル数と各国の平均身長との関係性を分析し、分析の結果、平均身長1センチメートルが伸びることで、オリンピックの獲得メダル数が3個増えるという結果を示してくれました(もちろん、この結果はまだまだ信頼を得られるレベルではありませんが、、)。「おーすげー身長伸びると3個増えるぜ!!」と、わいわい騒いでおります。この結果ですが、なにがそんなにおもしろいの?と思う方もいるかもしれませんし、学生たちもゲラゲラわらっているだけですが、なかなか興味深い結果だと私は感じました。学生には「ではオリンピックで勝つためには身長を伸ばせばいいわけだけど、平均身長を1cm伸ばすにはどうすればいいのか?簡単なことなの?」と尋ねてみました。学生たちは「それって結構難しいんじゃない?」と答えてくれました。

 

データの計量的な分析結果はもちろん重要な示唆を我々に与えてくれますが、よくよくその結果を考える必要があります。つまり平均身長が伸びることで、なぜ獲得メダル数が増えたのか、その理由を追求する必要があります。平均身長が1センチ上昇するということはそれだけ、栄養状態が改善し、生活が豊かになってきたことが強く関係すると考えられます。実際に日本で1950年代の男性の平均身長(30歳代)は160.3センチで2010年では171.5センチと上昇しました。60年かけて、11.2センチ、ということですから、それだけの時間をかけて経済や社会を成熟させてきた結果として、栄養面等の改善がオリンピックのメダル数に表れている可能性があるのではないか、と考えると非常に興味深い結果と言えます。

 

現在のゼミナールでも学生はまだ単純なデータ間の関係性を見るまでにとどまっていますが、多くのデータから丁寧に関係性を見つけ出し、そのうえでその結果が何を示しているのか、柔軟に思考する力を養ってほしいと思いますが、なかなかうまくはいきません。学生たちと、楽しく、しっかりと新たな発見をしていきたいと思います。

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