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武蔵の学び

トップ 訪問者 先生・先輩メッセージ人文学部ヨーロッパ文化学科 嶋内博愛教授

人文学部ヨーロッパ文化学科 嶋内博愛教授

●先生の所属学科の特徴を教えてください。
大まかにいって3点あります。1点目は学びの重点が「ヨーロッパ」にある、全国的にも数少ない学科ということ。言語と文学、芸術と生活、歴史と思想、現代社会・地域研究といった角度から、講義やゼミの形式で学びを深めます。

2点目は、第一外国語が英語ではなくドイツ語またはフランス語だということ。1年次の必修語学は、英語の授業が週1回なのに対し、ドイツ語またはフランス語の授業は週5回あります。もちろんドイツ語とフランス語は入学前未習の人がほとんど。英語が苦手な人も得意な人も同じスタートラインにたって、最初歩から学びます。また現地滞在経験者や既修者には、入学手続きの際に申し出を受けて個別対応しています。

3点目は海外留学や語学研修制度の充実です。入学前にドイツ語、フランス語に全くふれたことがなくても、「短期語学留学(4週間)」に参加する人は多数います。またさらに頑張って「長期留学(基本的に1年間)」し、しかも4年間で卒業するという例も珍しくありません。長期留学の枠は、ドイツ、フランスが年間に各5人です。

●なぜ、ゼミが大学生の学びにとって重要なのか。また、ゼミで身につく力を教えてください。
(ゼミが重要な理由)
講義の場合、知識は基本的に教員から学生へと流れるばかりですが、ゼミの場合、学びの中心にあるのは双方向性・多方向性です。自分が興味を持ったことについて、ときに一人でときにクラスの仲間と一緒に調べ、その成果をゼミ内で発表する。発表では、ゼミ生や教員からダイレクトな反応が期待できます。つまり、面白い発表だったかそうでなかったか、即座にわかるというわけです。それが成長を促すのです。

(ゼミで身につく力)
ゼミは、(武蔵大学の前身である旧制武蔵高等学校時代からの)建学の三理想にある「自ら調べ自ら考える力」を涵養する、学びの中心的な場といえます。そこでは、それまで「何となく」理解していたことを、発表準備したりクラスメイトや教員とやりとりしたりするなかで、言葉にしていかなければなりません。その作業は、たとえていうなら、ジグソーパズルのピースをつなげて絵を描いていく感じ……とでもいえるでしょうか。最初はうまくいかなくても、きっと少しずつ言葉が紡ぎ出され、明確な絵が描けるようになっていくことでしょう。

●先生が、ご自身の専門分野に興味をもたれたきっかけを教えてください。
子どもの頃から、当時としては珍しい異国情緒あふれる雑貨などが、身近なところにいろいろあったように思います。たとえば、ココナッツの実をくりぬいた木彫りの置物とか、カンガルーの毛皮とか、ネイティヴ・アメリカンの砂絵とか、外国のおもちゃとか絵本とか。父が外資系企業の社員で伯父が海外航路船員だったため、世界各地からお土産として持ってきてくれたものでした。その影響なのか、高校生の頃には「異文化」そして「民俗文化」に対して漠然と興味を持つようになっており、大学では文化人類学と民俗学に一番好奇心をかき立てられました。それで選んだゼミの先生(今でも私の大師匠です)がフランスをフィールドにしており、授業などで現地での話をうかがう機会が多くありました。そんなわけで、とくにヨーロッパの民俗文化についてもっと知りたいと思うようになったのです。

●先生のゼミについて、学ぶ内容や特徴、魅力を教えてください。
最近は研究文献の精読が中心です。頭の中に詰まっている断片的な知識のカタマリは、主体的にパズルを組み立てる作業(つまり自ら調べ自ら考えること)によってつなげることもできますが、本を読むことでもつながっていくと私が考えているからです。

扱う分野は、今年度の例をあげると、2年次のゼミでは民俗文化、3年次のゼミでは伝承研究です。ヨーロッパ文化学科ですので軸足はヨーロッパに置きつつも、具体的な内容はゼミ生の興味にあわせるので、地域にこだわることなく広がっています。たとえば2015年の前期は、ゼミ生の提案もあり、アラビアン・ナイトを初めてゼミで扱いました。日本で一般的なアラビアン・ナイトのイメージはヨーロッパで形成されたもので、はたしてイスラーム圏で実際どうだったかなどについてはまだまだ研究が発展途上だということを確認するきっかけになりました。あるいは、100年ほど前にユダヤ系ドイツ人が書いた、北米のネイティヴ・アメリカンが継承してきたヘビ信仰に関する文献(アビ・ヴァールブルク『蛇儀礼』)を読み、そこから、この動物の象徴性についてだけでなく、非ヨーロッパの思考とヨーロッパのそれとの間に共通点を見いだすという発想についても学び、深めました。

ひとりでは挫折してしまいそうな文献でも、ともかく全員が読んでくる。それをふまえてディスカッションする。そうすることで少しずつ、専門文献の読み方が身につきます。手元のピースをつなぎ合わせてみたら「思いもよらなかったヨーロッパ像」がみえてきた……。そんな経験ができるかも知れません。

●最後に、受験勉強に励んでいる高校生にアドバイスをお願いします。
自分の経験からいうと、高校までに勉強したことのなかには、そのとき面白くないと思えても、後から振り返ると人生を豊かにする糧になったものが多数ありました。ですので、忘れることを恐れず、忘れたらまた覚える。それを繰り返し、吸い取り紙のように知識を吸い上げてほしい。そうしてできた蓄積の一つひとつが、大学での学びだけでなく人生を楽しみ深めるための手がかりになることでしょう。

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