社会学部ゼミブログ

2015.05.28

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被災地とアチェ・複数のプロジェクトが進行中 松本ゼミ

ブログ投稿者:メディア社会学科 教授 松本恭幸

学生による被災地支援のための市民メディアプロジェクトによる名取市閖上地区での取材風景

メディア社会学科の松本ゼミ(2~4年)では、2、3年次に学生が学年をまたがって縦割りで運営される複数のプロジェクトの中から、自分で関心のあるものを選んで、ゼミでの年間を通した活動を組み立てます。そしてその集大成として、4年次に卒論・卒制に取り組みます。

原則としてゼミ生全員が参加するのが、「学生による被災地支援のための市民メディアプロジェクト」で、これはメディア表現(映像制作)と社会調査(フィールドワーク)の手法を学ぶ学生達が、東日本大震災後の2011年4月からほぼ毎月被災地を訪問し、そこで映像取材した多くの方のメッセージを番組にし、首都圏、関西圏のCATVや衛星放送等で放送する活動で、これまで津波の被害の大きい東北3県の沿岸部と福島原発事故のあった双葉郡とその周辺部の30余りの自治体に、これまで計40回以上通っています。活動資金としては、外部資金として昨年度に引き続き今年度、住友商事環境・CSR部の「東日本再生ユースチャレンジ・プログラム」の助成を獲得しました。
今年度は4月に宮城県の沿岸部での取材を皮切りに、5月から6月にかけて計3回、福島原発事故のあった双葉郡の周辺地域(伊達市、川俣町、田村市等)での取材に毎週末に通っています。

インドネシアのアチェを訪問したゼミ生
また2013年からスタートした「アチェ対話プロジェクト」は、NPO法人地球対話ラボが東日本大震災の6年近く前の2004年12月に起きたスマトラ島沖地震の最大の被災地、インドネシアのアチェ州バンダ・アチェと日本の宮城県東松島市宮戸島を結び、子供達がネットで交流する被災地間国際交流プロジェクトに、ゼミの学生が日本側ファシリテーターとして関わるもので、夏休みを利用してアチェの学生と相互に相手国の被災地を訪問し、ワークショップを行って子供達に相手国を理解してもらった上で、ネットでの対話を行う取り組みです。今年は6名の学生が日本側ファシリテーターとなり、現在、インドネシアで最も敬虔なイスラム教徒であるアチェの人達と交流するため、アチェの歴史や文化とともに、イスラム教についても勉強しています。

大学生による社会起業プロジェクトは、ゼミの3年生が就活の始まる2016年3月末までに、ソーシャルビジネスの領域での起業を考えたビジネスプランを作成し、もしそれが成功する可能性があり、取り組もうとする学生有志が就活せずに社会起業を選ぶなら、教授、参加学生、及びゼミの外部から資本金を集めて会社を立ち上げ、新しいソーシャルビジネスの創出を目指すという取り組みである。
その第一歩として、各分野の様々な専門家に公開の場で話をうかがい、そこに集まった学生、社会人で議論するため、首都圏、関西圏で新宿ロフト、ロフトプラスワン等のライブハウスを運営するロフトプロジェクトのオーナーで、社会起業家の平野悠氏の協力を得て、新宿百人町にあるトークライブハウスのネイキッドロフトを会場に、月1回(目標)のトークイベントを行っている。松本ゼミが、CSR専門誌の『オルタナ』が運営する、若者による社会変革を応援するサイト「オルタナS」のキャンパス支局となっている関係で、このトークイベントには同じ「オルタナS」のキャンパス支局の他大学の学生達にも声を掛け、一緒に取り組んでいる。

他にもニコニコ超会議や首都圏のトークライブスペース等、近年のトークライブ空間の拡大について調査するプロジェクト、ローカルメディアとコミュニティビジネスに関するプロジェクト等、いくつかのプロジェクトが並行して走っており、参加する学生はプロジェクトにおける役割とスケジュールを調整しながら、多くの成果を生んで経験値を高め、4年次までに自らの社会に出てからの方向を定め、就活に臨んでいる。