社会学部ゼミブログ

2015.02.17

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学生生活の集大成「卒業制作」

ブログ投稿者:メディア社会学科 教授 中橋雄

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(制作された電子書籍教材)

メディア社会学科には、「卒業論文・卒業制作」という必修科目があります。これは、学生生活の集大成として個々の研究テーマを卒業論文あるいは卒業制作にまとめるものです。卒業論文にするか卒業制作にするかは、学生が自分で決めます。武蔵大学の中で卒業制作に取り組むケースがあるのはメディア社会学科だけです。学科最大の特色といえるでしょう。

「社会的に意味のある作品」であることが、卒業制作の条件ですが形式は問いません。これまでにも、ドキュメンタリー番組、ルポルタージュ、公共広告、フォトブック、アニメーションなど、様々な作品がありました。作品と同時に制作プロセスを綴った「制作ノート」を提出する必要があり、「社会的に意味のある作品」であるかは、こうしたレポートの中でも説明されます。

ナカハシゼミでも、例年、卒業制作に取り組むゼミ生がいます。今年度、卒業制作に取り組んだ学生の作品をひとつ紹介します。作品のタイトルは「写真にこめられたヒミツ」です。「伝える写真の撮り方・見方」についてタブレット端末を用いて学習する小学生向け電子書籍教材を制作しました。電子書籍としての機能を活かし、動画やクイズを埋め込むことによって理解を深める工夫がされています。

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(無事に提出!)

デジタルカメラ、カメラ付きタブレット端末等の普及により、教育現場で写真を撮影する学習の機会が増加しているにも関わらず、伝える写真に関する教材が見受けられないことを問題意識としたものです。手ブレや逆光に注意するというような技術的な解説だけでなく、伝えたいことを伝えられる写真を撮影できること、報道的な伝える写真のあり方について理解できることが目標に掲げられています。

教材の中では、社会科見学でペンケース工場に行き取材したことを新聞にまとめるというストーリーの中で「様々な種類のペンケースを作っていること」を伝えるための写真について考える学習があります。また、訪問時にやっていない普段の仕事を演じてもらって撮影することは実際の場面ではないけれども、「再現」という手法として認められる場合もあることを学ぶ内容などがあります。

完成した電子書籍教材は、実際に学校現場で活用していただきました。また、学習者に対する質問紙調査によって制作した電子書籍教材の有効性を確認することができました。卒業制作の作品も社会的な影響力をもつメディアです。卒業制作に取り組んだ学生は、企画・制作・評価の活動を通じて、社会における問題を発見する力、解決するための企画力・表現力にとどまらず、メディアのあり方について考え行動していく力を身につけてくれたことと思います。