人文学部ゼミブログ

2023.07.18

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  • 日本・東アジア文化学科

日本・東アジア文化基礎ゼミナール1

ブログ投稿者:日本・東アジア文化学科 教授 福原敏男

2023年度の日本・東アジア文化基礎ゼミナール1では『近世子どもの絵本集 江戸篇』(1985年、岩波書店)をテキストにして、毎回学生が発表しました。春学期は「昔話もの」「御伽草紙・説話もの」を読みましたが、学生が経験的に享受してきた画一的な物語とは大きく異なった物語でした。花咲爺、舌切雀、猿蟹合戦、分福茶釜、桃太郎、金太郎、酒呑童子、鉢かつぎ姫などの近世絵本に興味をそそられたようで、毎回すばらしい発表が続きました。各物語には時代的・地域的な差異がみられ、学生の発表もその指摘が際立ちました。

さて、私の専門分野は日本民俗学、なかでも祭礼研究ですが、コロナ禍のひどかった時には多くの祭りが中止となりました。千代田区の神田神社の神幸祭「神田祭」が私の研究テーマの一つですが、2023年5月13日(土)には、10名の学生とともに同祭を参与観察するフィールドワークを実施しました。

神田祭は同区永田町の日枝神社の神幸祭(江戸時代は山王祭)とともに、江戸時代には幕府が援助しましたが、金銭的・人的に大変であったために隔年執行とされ、現在に至っています。江戸時代にも疫病などのために延期や中止がありましたが、2023年の神田祭はコロナ禍からの久しぶりの復活でしたが、写真のように、多くの人と山車をひく福原ゼミ生にはマスク着用を義務づけました。

ゼミ生が参加したのは、神輿渡御とは異なる附祭(つけまつり)と呼ばれる山車の行列であり、神田神社の祭神で医薬の神「恵比寿と大黒の山車」と「浦島太郎の山車」を、初めから最後までひきました。

祭礼巡行コースは千代田区と中央区、江戸時代は氏子の町人地や武家地という江戸・東京の中心地であり、写真には日本橋三越デパートを背景に、銀座の中央通り(東京の目抜き通り)を進む浦島太郎山車をひいたり、竜宮城を飾る役を担当したゼミ生が写っています。