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2016.7.11

武蔵大学

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メディア社会学科・永田浩三教授著『ヒロシマを伝える~詩画人・四國五郎と原爆の表現者たち』が刊行されました

永田浩三
ヒロシマを伝える~詩画人・四國五郎と原爆の表現者たち』WAVE出版、2016年

●本の概要
米軍による検閲のもとで、危険をかえりみず、原爆の真実と戦争反対を訴えた若者たちがいた。「にんげんをかえせ…」の詩で有名な「原爆詩集」はどのように生まれたのか? ヒロシマの表現者たちの物語。「ちちをかえせ ははをかえせ としよりをかえせ こどもをかえせ わたしにつながる にんげんをかえせ……」

GHQ 検閲下、広島原爆の惨状を伝えた『原爆詩集』は、峠三吉と四國五郎という二人の若者によって世に出された。後に四國は、『はだしのゲン』に次いで子どもた ちに知られる絵本『おこりじぞう』(金の星社)を制作。「市民が描く原爆の絵」のキャンペーンでも重要な役割を果たす。
四國はシベリア抑留後、1948年広島に帰郷。3歳下の弟が被爆で亡くなっていたことを知る。「自分はあの閃光の下にはいなかった。弟の無念を伝える絵描きになろう」
峠を中心とした若者たちは、弾圧をくぐり抜け作品を作り、原爆の惨状を世に伝え続けた。街角に反戦詩を貼る「辻詩」。百貨店上からのビラまき……。政治と芸術、社会と個人の狭間で翻弄され、命を絶った者も多い。
原爆投下から71年。本書では、2014年に亡くなってから発掘された四國五郎の58冊の日記や新資料、関係者の証言をもとに、原爆投下直後からの、若々しくかつ苦悩に満ちたヒロシマの青春時代を浮き彫りにしていく。命をかけて平和を訴えた若者たちの人間模様を、元NHKのジャーナリストが、祈りを込めて描いたノンフィクション。

著者から一言
一 昨年の『ベン・シャーンを追いかけて』、去年の『奄美の奇跡』につづく三部作の最終章のつもりで書きました。時代は原爆が投下された1945年から 1950年代が中心になります。占領軍の検閲に抗い、ヒロシマの真実を絵や詩・小説・短歌・写真などによって伝えようとしたひとたちの物語です。その中心 となったのが詩画人・四國五郎です。峠三吉との協働である『原爆詩集』の表紙や、NHKのキャンペーン「市民が描く原爆の絵」で重要な役割を果たしまし た。9月まで、「原爆の図 丸木美術館」で大規模な回顧展が開かれていますので、ぜひナマの作品を見ていただきたいと思います。
今回の本のなかには、第五福竜丸の保存に貢献した武蔵大学の先輩・武藤宏一さんと広島の被爆者・高橋昭博さんとの知られざる交流も紹介されています。被爆から71年。この夏改めてヒロシマを考えてみるのはいかがでしょうか。(永田 浩三)

ヒロシマを伝える

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