ニュース一覧日本・東アジア文化学科 水口拓寿教授 著『儒学から見た風水―宋から清に至る言説史』が刊行されました

2016.2.25

武蔵大学

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日本・東アジア文化学科 水口拓寿教授 著『儒学から見た風水―宋から清に至る言説史』が刊行されました

人文学部日本・東アジア文化学科 水口拓寿教授 著
『儒学から見た風水―宋から清に至る言説史』風響社、2016年


●本書の概要
中国では宋代以後、風水が空前と言ってよいほどに大流行しました。「士大夫」や「読書人」と呼ばれた知識人たちも、自身の成功や一族の繁栄をめざして風水に熱中することが多かったのですが、しかしその一方では、儒教の立場から風水の流行に苦言を呈したり、風水の理論に批判を向けたりする場合も見られました。やがて彼らの中から、むしろ儒教が説く「礼」や「孝」の実践を助けるものとして、風水を積極的に価値づけようとする者や、風水に含まれる「気」の世界観に共鳴する者が現れます。更には、風水理論を儒教思想に十分親和する形へ改造し、それを広めようとする者も登場しました。本書は、道学が興った宋代から、考証学が栄えた清代の乾隆年間までを視野に入れ、司馬光・程頤(ていい)・朱熹(しゅき)・呉澄・丘濬(きゅうしゅん)・四庫館臣など、風水と向き合った儒教知識人たちの軌跡をたどるものです。全10章、406頁。

●著者より一言
公益財団法人松下幸之助記念財団「第2回松下正治記念学術賞」の受賞著作を、副賞として頂戴した出版助成により刊行しました。世の流行を必ずしも頭ごなしに否定せず、無視や妥協でとりあえずの解決を図るのでもなく、試行錯誤を繰り返しつつ最後には自らの側に取り込んでしまう、儒教のしたたかな「知」の力を描き出せていたら幸いです。装幀はあえて絵や写真を用いず、天地を象徴する青色と黄色だけでシンプルに作っていただきました。(水口 拓寿)

ぜひ、ご一読ください。


儒学から見た風水

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