2015.10.26

Category:社会学科

社会学科 准教授 安藤丈将

地域活動の場に足を運ぶ 安藤ゼミ

「制度のはざまで救われずに苦しむ孤立や貧困、その声にもならないSOSを救い出す」。これは、2014年にNHKで放送された『サイレントプア』というドラマの中のフレーズです。このドラマでは、「コミュニティ・ソーシャル・ワーカー」の主人公の目を通して、様々な困りごとを抱える地域住民の姿が描かれています。困りごとの内容は、ゴミをためてしまう、引きこもりで家を出られない、認知症の親の世話をする、福島から避難してきたなど、様々です。そう、地域には、SOSの声が潜んでいます。それは、注意深く耳を傾けなくては、聞こえてきません。人びとがSOSを発するまでに追い込まれてしまう原因の一つは、「貧困」です。
日本でも、貧困問題は、他人事ではなくなっています。厚生労働省の調査では、貧困層の割合は、6人に1人に達しました。これだけの割合に達してしまっては、貧困を自己責任で片づけることはできません。問題なのは、貧困家庭で、子どもの食が貧しくなりがちなことです。栄養バランスや安全性の欠如した食事を一人でとる子どもたち。その影響は、健康だけでなく、勉強や友人関係にまで及んでいます。
私のゼミでは、地域の貧困家庭の子どもに食事を共にする場を提供する「こども食堂」、校庭に菜園を設けて食農教育を実施している公立小学校、貧困家庭の状況を調査している区議会議員に取材をしました。特に「こども食堂」に関していえば、武蔵大学のある練馬区は、ボランティアの地域住民がすでに4ヶ所で運営をしている「こども食堂」の先進地域です。それは地域活動の力の証明であるわけですが、それだけ貧困が私たちの身近に存在し、その対策が十分になされていないことを示しているとも言えます。

愛和小学校①(野寺由夏撮影)

愛和小学校②(野寺由夏撮影)

 

 

ゼミ生は、下調べをして、取材の依頼をし、インタビューをした後に、その成果を報告書としてまとめています。貧困家庭の具体的な話を聞き、ショックを受ける学生もいれば、地域活動を担うボランティアのスタッフさんと楽しい食事の時間を過ごさせてもらう学生もいました。貧困の現状を直視すればするほど、暗澹たる思いにさせられますが、かすかなSOSの声に耳を傾ける地域の人びとのエネルギーに、学生たちも未来への希望を感じているようでした。

ねりまこども食堂③(明石彩愛撮影)

ねりまこども食堂②(明石彩愛撮影)

そんな方々に触れながら、地域の問題の所在を知り、それを生み出している社会的な背景を踏まえながら、それぞれの活動の意義を理解するという課題が、ゼミ生に与えられています。地域の問題を解決するために一緒に知恵をしぼり、汗をかく。今回は、ゼミの課題としてでしたが、いつかここで学んだことを生かし、それぞれの場所とやり方でSOSを発している人びとの声に耳を傾けていってほしいと思っています。

ねりまこども食堂①(明石彩愛撮影)

なゆたふらっと(稲葉理咲撮影)

 

 

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