2016.10.28

Category:ヨーロッパ文化学科

ヨーロッパ文化学科 教授 木元豊

フランス語で文学作品を読んでみる

武蔵大学人文学部ヨーロッパ文化学科では、1年次からフランス語またはドイツ語を第1外国語として学びます。私はフランス文学を専門としていますので、3年生向けの専門ゼミでは、2年間フランス語を学んできたゼミ生の皆さんに、フランス文学作品の抜粋を、フランス語で読むことに挑戦してもらっています。前期には、サン=テグジュペリ作『星の王子さま』とユゴー作『レ・ミゼラブル』から、教員である私が抜粋を作りました。後期には、ゼミ生の皆さんに読む本を選んでもらい、原文の抜粋を作ってもらいます。今、挙がっているのは、バルザック作『ゴリオ爺さん』、メリメ作『カルメン』、フロベール作『ボヴァリー夫人』、カミュ作『異邦人』と、どれもフランス文学を代表する作品ばかりです。

左から『星の王子さま』、『レ・ミゼラブル』、『ゴリオ爺さん』

左から『星の王子さま』、『レ・ミゼラブル』、『ゴリオ爺さん』

 

授業で抜粋を読む際には、もちろんいきなり読み始めるわけではありません。ゼミ生の皆さんには、まず作者や作品のことを調べて発表してもらいますし、抜粋箇所が作品全体の中でどのような場面であるのかということも説明してもらいます。また、抜粋を読み終わったら、抜粋からどのようなことが読み取れるのかを発表してもらいます。

木元ゼミ2016 (2)

ある日のゼミ風景

 

ところで、翻訳も出ている作品を、わざわざ苦労してフランス語で読む意味はあるのでしょうか。しばしば忘れられがちなことかもしれませんが、翻訳の文章を書いているのは、作者自身ではなくて、翻訳者です。そして、翻訳には、必ず翻訳者の解釈が入ります。例えば、『星の王子さま』の原題はLe Petit Princeで、直訳すれば「小さな王子さま」といった意味になります。「星の」と付けたのは最初の翻訳者の解釈なのです。原文を読むことで、初めて私たちは作品自体に向き合えるのです。ゼミ生たちは、時制の使い方、登場人物に対する指示語や形容語、比喩の使い方などに着目しながら原文を読むことで、翻訳を読んだだけでは気づかなかった意味を発見していきます。

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